同じDNAをもつクローンなのに表現形が異なるわけ。「エピジェネティクス入門」
数年前、米国で犬や猫の体細胞クローンを作る会社が作った動物が元の動物と異なる毛色になるという問題がありました。遺伝子配列がまったく同じであるのに、なぜ、表現形が異なるのか? それを説明できる一つに「エピジェネティクス」という言葉があります。
細胞のなかに含まれるDNAから生命維持や発育に必要なタンパク質が作られます。しかし、どの細胞も同じようにすべてのタンパク質を作っていたら、体は逆にうまく動きません。そこで一定以上の高等生物では「メチル化」という便利な機能によって、不要なタンパク質が作られないようにDNAからの転写を止めることができます。これがエピジェネティクスの一つの機構です。
毛色の出方にもこの機構が関係しています。ある種のタンパク質が転写されるとその領域の毛色が黒くなったり茶色になったりします。ドナー(クローン細胞の提供元)では頭が黒と茶色になっていたのに、クローン個体では同じ領域のタンパク質が転写がされないことによって、毛色が異なるということを引き起こすのです。
エピジェネティクスは、ある種のがんにも関連しています。がん化を防止するタンパク質の転写がメチル化によってできなくなってしまうことによってがんが起こるということが知られているそうです。そのタイプのがんでは、このメチル化を外してやるという治療法が取られるそうです。
この「エピジェネティクス入門」は、2005年に出版されている本です。100ページ未満の本ですが、とても勉強になりました。
細胞のなかに含まれるDNAから生命維持や発育に必要なタンパク質が作られます。しかし、どの細胞も同じようにすべてのタンパク質を作っていたら、体は逆にうまく動きません。そこで一定以上の高等生物では「メチル化」という便利な機能によって、不要なタンパク質が作られないようにDNAからの転写を止めることができます。これがエピジェネティクスの一つの機構です。
毛色の出方にもこの機構が関係しています。ある種のタンパク質が転写されるとその領域の毛色が黒くなったり茶色になったりします。ドナー(クローン細胞の提供元)では頭が黒と茶色になっていたのに、クローン個体では同じ領域のタンパク質が転写がされないことによって、毛色が異なるということを引き起こすのです。
エピジェネティクスは、ある種のがんにも関連しています。がん化を防止するタンパク質の転写がメチル化によってできなくなってしまうことによってがんが起こるということが知られているそうです。そのタイプのがんでは、このメチル化を外してやるという治療法が取られるそうです。
この「エピジェネティクス入門」は、2005年に出版されている本です。100ページ未満の本ですが、とても勉強になりました。
この記事へのコメント